令和5年度「高等学校における日本語指導の先進的取り組み事例(先進事例)」
● 令和5年度「高等学校における日本語指導の先進的取り組み事例(先進事例)」
(文部科学省委託事業「高等学校における日本語指導体制の充実に関する調査研究」 (令和5年度))
<先進的取り組み校の視察> 本事業では、令和5年度4月より施行された「特別の教育課程」による日本語指導の実施状況の調査と先行事例の収集を行いました。文部科学省の担当部局の協力、また、調査部会員らの情報収集により、下表に示すように、11の高等学校を訪問し、視察・聞き取り調査にご協力いただきました。それぞれに、学校の課程、学科、単位履修の仕組みなどの制度的特性、また、自治体による受け入れ体制、地域の多文化化の状況や地域支援の多寡など、その教育環境は大きく異なっています。そうした中でも、学校の教育方針や目指す生徒像に基づき、本制度を教育課程の編成に活用している学校もあれば、学校の従来の教育方針を具現化するために本制度を部分的に活用している学校もありました。また、外国人生徒等の多数在籍する学校で組織的にシステマティックにこの制度を実装化しているところもあれば、外国人生徒等の在籍数が一人であるにもかかわらず、その一人のために人的配置を行って導入しているところもあります。いずれの現場でも、関わる教員・コーディネータ・支援者が、目の前にいる生徒の明日を切り開くための教育として、日本語指導・教科学習支援、キャリア教育を位置づけ、工夫して学習をサポートしています。管理職の皆さんが、学校に付託された社会的役割であるという明確な学校観・教育観をもって推進している姿も印象に残っています。 本事業の研修及びシンポジウムでは、この調査で訪問した高等学校を招いて、報告をしていただきました。その報告内容のアクセス先を示します。ヒアリング(2024年3月16日実施)資料と合わせてご覧ください。また、本事業の成果物であるリーフレット「高等学校における日本語指導と学習支援-「特別の教育課程」の制度を活用して」で、仮名でですが、事例の一部を紹介しています。 本事業の研修参加者へのアンケートによれば、「特別の教育課程」を編成して日本語指導を実施する学校はまだ多くはありません。しかし、令和6年度からの導入を検討する学校も少なからずありますし、学校設定科目などで日本語に関連する科目の中で日本語指導の質的向上を検討しようという学校も見られます。今後の関連制度・体制のさらなる整備と、教育・支援の質的向上に向けた検討のために、先んじてチャレンジしているこれらの学校の事例を、是非参考にしてください。
表に示したように、視察後には、研修及びシンポジウムで事例報告を行っていただきました。 2023年度「高等学校における日本語指導・体制整備に関する研修」 |